院内感染対策指針
東葛病院管理会議
2020年7月6日改訂
1、院内感染対策指針の目的
この指針は、院内感染の予防と再発防止、及び集団感染時の適切な対応など東葛病院(以下、「当院」という)における院内感染対策体制を確立し、適切かつ安全で質の高い医療の提供を図ることを目的とする。
2、院内感染対策に関する基本的な考え方
地域に根差した医療を目指す当院において、適切な院内感染対策を講じることは、患者、職員の安全を守るだけでなく、地域における耐性菌の発生防止や医療コストの軽減の点からも重要である。また、院内感染の防止に留意し、感染症の異常発生の際にその原因を速やかに特定し、制圧、終息かつ再発防止を図ることは、医療安全対策上そして患者サービスの質を保つ上で必須であると考える。
以上の考え方に基づいて、院内感染対策の必要性・重要性を全部署・全職員に周知徹底し、当院における共通の課題として積極的かつ組織的に取り組みを行なうものとする。
3、院内感染対策のための委員会その他の組織に関する基本事項
当院における院内感染対策を推進することを目的として以下を設置する。
なお、それぞれの詳細については別途規程を設ける。
1)感染対策委員会(infection control committee:以下ICC)
- 病院長の諮問に応じて種々の院内感染を予防することを目的として設置する。
- 感染対策に関する情報を把握し、感染制御チーム(以下ICT)と抗菌薬適正使用支援チーム(以下AST)の活動に対する助言、援助を行う。
- 感染対策に関連する事項の決裁を行う。
2)感染対策室
- 病院全体の感染対策について組織横断的に管理する。
- ICTとASTの事務局機能をもつ。
3)感染制御チーム(infection control team:ICT)
- 感染対策部門として感染防止対策を適切に実践するために設置する。
- 感染対策推進の中心的な役割を担う。
4)ICTリンクスタッフ
ICTの方針の下で各職場における感染対策の実践モデルとなり感染対策を推進する。
5)抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team:AST)
抗菌薬の適切な使用により薬剤耐性菌の出現を防止するとともに感染症患者の治療が円滑に行われるための活動を行う。
4、院内感染対策のための従業者に対する研修に関する基本方針
1)院内感染対策の基本的考え方及び具体的方策について、職員に周知徹底を図ることを目的に、全職員を対象に年2回以上研修会を実施する。
2)上記研修会に参加できなかった職員に対してのフォロー学習会を行い、受講率100%を目指す。
3)学習会開催後の研修評価記録を保管する。
4)院内ラウンドによる現場での教育、ICTリンクスタッフへの教育は年間を通して継続的に行う。
5)新入職、中途採用者、帰任者、職種別の学習会を定期的に行う。
5、院内感染発生状況の把握と報告に関する基本事項
ICTは院内の感染症や微生物の検出状況を把握し、感染対策に活かさなければならない。また、すべての部署は感染対策上重要な感染症の発生や血液・体液曝露に関する情報をICTに報告する。
1)日常的な状況の把握
- 中心静脈ライン、手術部位感染などの医療関連感染サーベイランスを行い、感染率を把握する。
- 微生物検査の委託機関から提出される感染対策レポートを活用し微生物の検出状況、耐性菌の発生状況を把握する。
2)アウトブレイクまたは異常発生時
- ICTは微生物の検出状況や感染症の発生動向から、アウトブレイクや 異常発生を迅速に特定する。
- アウトブレイクまたは異常発生時は病院長、感染対策委員長に報告する。
3)届出が義務付けられている感染症が発生した時は速やかに管轄の保健所へ届出を行う。
6、院内感染発生時の対応に関する基本方針
1)職員は感染対策マニュアルに沿って行動し、感染拡大を防止する。
2)院内感染対策委員長は必要に応じて臨時にICCを招集し発生の原因究明、対策の立案を行い、これを全職場に徹底させる。
3)当院だけでは解決困難な場合は、管轄の保健所および感染対策連携病院に相談し早期解決を目指す。
7、患者等に対する当指針の閲覧に関する基本事項
1)本指針は病院ホームページにおいて一般に公開する。
2)患者またはその家族から本指針の閲覧の求めがあった場合はこれに応じる。
8、病院における院内感染対策の推進のために必要な事項
1)院内感染対策マニュアルを整備し、全職員はこれに沿って業務中の感染対策に努める。
2)院内感染対策マニュアルは、科学的根拠と医療上の安全性・経済性を考慮しつつ、最新の知見に基づき適切に改訂、追加を行う。
3)院内感染対策マニュアルは全職場に配布し、変更時にはその都度周知、徹底を図る。
4)職員は自らの健康状態を把握し、保持に努める。
5)院内療養環境の整備の推進
- 院内すべての手洗い場への液体せっけん、ペーパータオルの設置
- 手洗いシンクは手洗い専用とする。
- WHO(世界保健機関)の医療機関における手指衛生ガイドラインに基づき「手指衛生を行う5つのタイミング」で適切な手指衛生を職員全員が遵守する。
- 医療従事者のみでなく、患者・家族等にも手指衛生の指導、推進に努める。
- 廃棄物は法令に従い、正しく分別し、適正に処理をする。
- 衛生基準を維持し、環境介した感染症の発生を防止する。
-
抗菌薬の適正使用を推進する。
・抗菌薬使用についての監査とフィードバックの実施。
・ICDによる感染症診療のコンサルテーションを実施する。 -
医療従事者と患者の交差感染予防
・B型肝炎ワクチン、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、水痘のワクチン接種の機会を設ける。
・感染性疾患の罹患の恐れのある職員又は曝露を受けた職員は就業制限を適切に行う。 -
院内に立ち入るすべての人に対しての感染対策の情報の配信
・基本的な感染対策についての案内や、ポスター掲示を適切に行う
・季節や流行状況に応じた案内や、ポスター掲示を行う。
附則
この指針は2013年3月7日から施行する
2016年5月12日改訂
2016年7月12日改訂
2017年10月16日改訂
2018年4月2日改訂
2019年10月7日改訂
2020年7月6日改訂